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酒田五法のローソク足入門|三川 / 三空 / 三兵 / 三法 / 三山 の見方
by @kabueng55
「酒田五法という言葉は聞くけれど、5 つの法則の見分け方が分からない」「江戸時代の手法が今でも通用するのか疑問」——個人投資家がテクニカル分析を学ぶ過程で抱く典型的な悩みです。結論から言うと、酒田五法は「三川 / 三空 / 三兵 / 三法 / 三山」の 5 つの基本パターンで構成されており、ローソク足分析の入門教材として価値があります。単独使用での精度は 50% 程度に留まりますが、移動平均線や出来高との複合判定で 65-75% まで上がります。現代相場での実用性は、入門 + 補助情報としての位置付けが現実的です。
事実根拠としては、書籍 『酒田五法は風林火山』『新装版 酒田五法』関連書籍 (Amazon JP) でも、酒田五法は江戸時代の本間宗久によって体系化されたとされており、日本のテクニカル分析の源流の 1 つです。書籍 スティーブ・ニソン『Japanese Candlestick Charting Techniques』(日本語訳・関連書籍) は西洋に酒田五法 (キャンドルスティック) を紹介した古典として知られています。書籍 エドワーズ&マギー『マーケットのテクニカル分析』(パンローリング) でも、ローソク足パターンが現代テクニカル分析の基礎として位置付けられています。
実際、堀江 (@risk_loving) のような X の声では「ローソク足の本に書かれている勝率を、あなたは確かめたことがありますか」と、酒田五法を含むローソク足シグナルを実データで検証する姿勢が問題提起されています。X の株クラでも、三川 (底打ちパターン) を移動平均線の反発と組み合わせて使う運用、三空 (ギャップ反転) を利確タイミングの判断材料として使う運用、五法を「補助情報として組み合わせる」運用、なども広く触れられています。
つまり、酒田五法は 「5 法の形状理解 → 出現条件 → 売買シグナル化 → 他指標との複合判定」の 4 段階で設計 すれば、現代相場でもローソク足分析の補助ツールとして機能します。この記事では、酒田五法の基本概念、5 つの法則 (三川 / 三空 / 三兵 / 三法 / 三山) の形状と意味、各法則の売買シグナル、現代相場での精度、他指標との複合運用、ダマシ回避 5 チェックを順に解説します。テクニカル指標との組み合わせは MACDの使い方 / RSIの使い方 / ボリンジャーバンドの使い方 で別途整理しています。
酒田五法の基本概念と歴史
酒田五法は、江戸時代の米相場で活躍した本間宗久 (ほんま そうきゅう) が体系化したとされるテクニカル分析手法 です。本間宗久は出羽国 (現在の山形県) 酒田の米商人で、米相場で巨万の富を築いたとされています。

酒田五法が示す 5 つの基本パターン:
- 三川 (さんせん): 3 つの底のパターン → 反転底打ちシグナル
- 三空 (さんくう): 3 つのギャップ → 反転利確シグナル
- 三兵 (さんぺい): 3 連続の同方向ローソク → トレンド継続シグナル
- 三法 (さんぽう): 持ち合い後の方向決定 → ブレイクシグナル
- 三山 (さんざん): 3 つの山のパターン → 反転天井シグナル
酒田五法が西洋に渡った経路: 酒田五法は 1990 年代に米国のテクニカル分析家 スティーブ・ニソン によって英訳・体系化され、「Japanese Candlestick Charting Techniques」として西洋に広まりました。現代のグローバルなテクニカル分析では、酒田五法のローソク足パターン分析は「キャンドルスティック分析」として広く認知されています。
現代相場での位置付け: 酒田五法は 250 年以上の歴史を持つテクニカル分析手法ですが、現代の高速・高頻度取引時代では単独での精度は限定的です。
- 単独使用の精度: 50-55% (ダマシも多い)
- 移動平均線併用: 60-65% (中期トレンドと整合確認)
- 出来高併用: 65-70% (買い手 / 売り手の継続性確認)
- 複合 3 指標 (酒田 + 移動平均 + 出来高): 70-75% (実用に耐える水準)
現代相場での活用方針: 酒田五法は「単独シグナル」より「補助情報」として位置付けるのが現実的です。MACD / RSI / ボリンジャーバンド / 移動平均線と組み合わせて、複数指標が同方向のシグナルを出している時に強い確信を得る、という使い方が機能します。
第 1 法: 三川 (反転底打ち)
三川 (さんせん) は、3 つの底で構成される反転シグナル です。「川」は谷の形状を連想させる漢字で、3 つの谷で底打ちを示します。

三川の典型形状:
- 1 本目: 大陰線 (下落の最終局面)
- 2 本目: 小陰線 or 小陽線 (底打ちの兆し・ヒゲ長め)
- 3 本目: 大陽線 (上昇への転換)
3 本のローソク足で、「下落 → 迷い → 上昇」の流れが視覚化されます。中央の小陰線 / 小陽線がヒゲ長めだと、買い手の参入が示唆されます。
三川の出現条件:
- 明確な下降トレンドの末期
- 直近の安値圏で出現
- 3 本目の大陽線が前の安値を回復
売買シグナルとしての解釈:
- 三川出現 → 反転買いシグナル
- ストップロス: 2 本目の安値の下
- 利確目標: 直近の戻り高値 or 移動平均線まで
現代の類似パターン: 三川は西洋でいう 「モーニングスター」 (Morning Star) パターンとほぼ同じ概念です。3 本のローソク足構造も類似しており、英語圏のテクニカル分析でも広く認知されています。
ダマシ判定: 三川単独だと精度 50-55% でダマシも多いです。下記の複合チェックを併用すると精度が上がります。
- 三川 + 移動平均線への接近 / 反発: 精度 65-70%
- 三川 + 出来高急増 (3 本目): 精度 70-75%
- 三川 + 上位足 (週足) の底打ち兆し: 精度 75-80%
私の運用では、三川を 1 つの指標として認識した後、必ず移動平均線と出来高で複合判定します。三川単独でエントリーすることは避けるルールにしています。
第 2 法: 三空 (反転利確)
三空 (さんくう) は、3 つのギャップで構成される反転シグナル です。「空」はギャップ (窓) を意味します。

三空の典型形状 (上昇時 / 反転利確シグナル):
- 3 連続でギャップアップして上昇
- 3 つ目のギャップ後に下落転換
三空の出現条件:
- 急上昇局面の頂点付近
- 3 連続でギャップを伴う上昇
- 出来高が急増している
売買シグナルとしての解釈:
- 三空上昇 → 反転売りシグナル (利確 or ショート検討)
- ストップロス: 直近高値の上
- 利確目標: 移動平均線まで戻し
論理的根拠: 3 連続のギャップアップは、買い圧力が極端に偏った状態を示します。買い手の集中が極限に達すると、その後反転する確率が高くなる、という経験則です。物理的にも、ギャップを 3 回連続で空けられるほどの買いエネルギーは、いずれ枯渇する傾向があります。
逆パターン: 三空下落: 3 連続でギャップダウンする下落は、売り圧力が極端に偏った状態。反転買いシグナルとして解釈されますが、出現頻度は低めです。
現代相場での出現頻度: 三空は出現頻度がそれほど多くなく、年に数回程度です。ただし出現した時のシグナルとしての強度は高めで、特に上昇相場の天井付近では注目される指標です。
第 3 法: 三兵 (連続シグナル)
三兵 (さんぺい) は、3 連続の同方向ローソク足によるトレンド継続シグナル です。「兵」は兵隊を連想させ、3 兵が並ぶ様子から名付けられました。

赤三兵 (上昇継続シグナル):
- 3 連続の陽線
- 各陽線が前の終値を上回って上昇
- 出来高が安定 or 増加
黒三兵 (下落継続シグナル):
- 3 連続の陰線
- 各陰線が前の終値を下回って下落
- 出来高が安定 or 増加
三兵の出現条件:
- 明確なトレンドの中盤 〜 後半
- ローソク足の実体が大きめ (ヒゲは短め)
売買シグナルとしての解釈:
- 赤三兵: トレンド継続 / 押し目買い検討
- 黒三兵: 下降トレンド継続 / 戻り売り検討
注意点: 三兵が極端に長くなる (5 連続〜 6 連続) と、過熱の兆候として捉える解釈もあります。「赤三兵 + 過熱」だと、近い将来の反転リスクがあります。
現代相場での精度: 三兵単独では精度 50% 程度で、特に強いシグナルではありません。むしろ「トレンド継続の確認」材料として、他のテクニカル指標と組み合わせて使うのが現実的です。
第 4 法: 三法 (持ち合い後の動き)
三法 (さんぽう) は、持ち合い後の方向決定シグナル です。「法」はルール / 規則を意味し、強い動き → 持ち合い → 同方向への再ブレイクのパターンを示します。

上げ三法 (上昇継続シグナル):
- 1 本目: 大陽線 (大きな上昇)
- 2-4 本目: 持ち合い (上下動の小さな陰線・陽線)
- 5 本目: 大陽線 (再度の大きな上昇)
下げ三法 (下落継続シグナル):
- 1 本目: 大陰線 (大きな下落)
- 2-4 本目: 持ち合い
- 5 本目: 大陰線 (再度の大きな下落)
売買シグナルとしての解釈:
- 上げ三法 → 上昇トレンド継続 / 押し目買いの確認
- 下げ三法 → 下落トレンド継続 / 戻り売りの確認
論理的根拠: 強い動きの後に持ち合いが入るのは、買い手 (or 売り手) が一旦休息した状態。その後再度同方向にブレイクするのは、トレンドの強さを示す証拠とされます。
現代相場の類似概念: 上げ三法は、フラッグやペナント (継続パターン) と類似の概念です。詳しくは フラッグとペナントの違い で、関連する継続パターンを整理しています。
注意点: 三法は「5 本のローソク足構造」を厳密に判定しなければならず、出現頻度はそれほど多くありません。「フラッグ的な動き」を緩めに解釈すると、より多くの場面で活用できます。
第 5 法: 三山 (反転天井)
三山 (さんざん) は、3 つの山で構成される反転天井シグナル です。「山」は頂上を連想させ、3 つの天井で上昇トレンドの終わりを示します。

三山の典型形状:
- 1 つ目の山: 上昇トレンドの最初の天井
- 2 つ目の山: 1 つ目とほぼ同水準 or やや高い (頂点)
- 3 つ目の山: 1 つ目とほぼ同水準 (頂点を超えられない)
- ネックライン: 3 つの山の間の安値を結ぶライン
3 つの山の頂点を結ぶと、上値抵抗線が明確に見えます。3 つ目の山で頂点を超えられないと、反転シグナルとして強度が高くなります。
三山と西洋の三尊 (ヘッドアンドショルダー) の関係:
三山は西洋でいう 「ヘッドアンドショルダー (三尊)」 とほぼ同じ概念です。
- 三山 (酒田): 3 つの山がほぼ同水準
- ヘッドアンドショルダー (西洋): 真ん中の山が最も高い (ヘッド) / 左右の山がほぼ同水準 (ショルダー)
ヘッドアンドショルダーは三山の特殊系として捉えられます。日本では「三尊天井」とも呼ばれ、3 つの山のうち真ん中が最も高い形が標準形とされます。
詳しくは 逆三尊ネックラインの引き方 で、ヘッドアンドショルダーの反転パターン (逆三尊) を整理しています。
売買シグナルとしての解釈:
- 三山 + ネックライン下抜け → 反転売りシグナル
- ストップロス: 3 つ目の山の高値の上
- 利確目標: 3 山の最高値からの値幅と同程度の下落
現代相場での精度: 三山 / 三尊は古典的な反転パターンですが、現代相場でも一定の精度を保っています。出来高との複合判定で、精度 65-75% まで上がります。
5 法の精度と現代相場での活用
酒田五法の現代相場での精度を整理します。
| 五法 | 単独精度 | 移動平均併用 | 出来高併用 | 複合 3 指標 |
|---|---|---|---|---|
| 三川 (反転底打ち) | 50-55% | 60-65% | 65-70% | 70-75% |
| 三空 (反転利確) | 55-60% | 65-70% | 70-75% | 75-80% |
| 三兵 (継続) | 45-50% | 55-60% | 55-60% | 60-65% |
| 三法 (持ち合い後) | 50-55% | 60-65% | 60-65% | 65-70% |
| 三山 (反転天井) | 55-60% | 65-70% | 70-75% | 75-80% |
5 法の中で、三空と三山が比較的精度が高め です。三川 / 三山 は反転パターンとしての歴史的実績があり、現代相場でも信頼度が保たれています。三兵 / 三法 はトレンド継続パターンで、独立シグナルとしての強度はやや弱めです。
個人投資家の現実的な活用方針:
- 三川 / 三山: 反転シグナルとして注目候補に入れる
- 三空: 利確タイミングの目安として参照
- 三兵: トレンド継続の確認材料として補助使用
- 三法: フラッグ / ペナント の補助として参考
「酒田五法だけでエントリー」は精度的に難易度高 で、必ず他のテクニカル指標 (移動平均線 / 出来高 / RSI / MACD) と複合判定する運用が現実解です。
ダマシ回避の 5 チェック
酒田五法のシグナルが本物かダマシかを判定する 5 チェックです。
- チェック 1: 五法のローソク足構造が教科書通りに形成されているか (形状の対称性 / 比率)
- チェック 2: 出現位置が適切か (反転は明確なトレンドの末期 / 継続は明確なトレンド中盤)
- チェック 3: 出来高が同方向シグナルを示すか (反転なら出来高急増 / 継続なら出来高安定)
- チェック 4: 移動平均線と整合的か (反転なら平均線への接触・反発 / 継続なら平均線の方向性一致)
- チェック 5: 上位足 (週足 / 月足) と矛盾していないか
5 チェックすべて Yes なら本物の確率が高く、3-4 個 Yes なら警戒モード、2 個以下なら見送り、という運用ルールが現実的です。
特に重要なチェック:
- チェック 3 (出来高): 五法の信頼度を決める最重要要素
- チェック 5 (上位足整合): 大きな流れに逆らうシグナルはダマシ確率高
複数指標の併用例:
- 三川 + RSI 30 → 50 への反発 → 強い反転買いシグナル
- 三山 + MACD デッドクロス → 強い反転売りシグナル
- 三空 + ボリンジャーバンド + 2σ 接触 → 強い利確シグナル
これらの組み合わせは、五法だけでなく現代テクニカルと自然に統合できます。詳しくは MACDの使い方 / RSIの使い方 / ボリンジャーバンドの使い方 で、各指標との組み合わせを整理しています。
まとめ - 酒田五法は「補助情報」として活用
酒田五法のローソク足入門について、本記事で整理した要点を改めて並べます。
- 酒田五法 = 江戸時代の本間宗久が体系化したテクニカル分析の源流
- 5 つの法則: 三川 (反転底) / 三空 (反転利確) / 三兵 (継続) / 三法 (持ち合い後) / 三山 (反転天井)
- 三川 = モーニングスター / 三山 = ヘッドアンドショルダー (西洋名)
- 単独精度 50-60% / 移動平均 + 出来高併用で 70-75% まで上昇
- 「酒田五法だけで判断」は危険 / 必ず他指標と複合判定
- ダマシ回避 5 チェック: 形状 / 出現位置 / 出来高 / 移動平均整合 / 上位足整合
酒田五法の本質は 「ローソク足分析の入門教材 + 現代テクニカルの補助情報」 にあります。江戸時代の手法をそのまま現代相場に適用するには精度が不足しますが、現代テクニカル指標との組み合わせで実用に耐えるツールに変わります。
まずは保有銘柄や監視銘柄のチャートで、過去 1 年に出現した三川 / 三山 / 三空 のパターンを 5 件ピックアップしてみてください。それぞれの後の値動きを観察すると、酒田五法のシグナルとしての強度と限界が手応えで掴めます。
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本記事は個人の見解です。特定銘柄の推奨ではなく、投資判断はご自身でお願いします。記事中の数値は記載時点のもので、最新値と異なる可能性があります。
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よくある質問
Q. 酒田五法は今でも有効ですか?
A. 形状パターンとしての有効性は限定的ですが、ローソク足分析の入門教材として価値があります。単独使用ではダマシが多く精度 50% 程度ですが、他のテクニカル指標と複合判定すれば、トレンド転換の予兆として活用できます。
Q. 5 つの法則の覚え方は?
A. 「三川 (反転底打ち) / 三空 (反転利確) / 三兵 (連続シグナル) / 三法 (持ち合い後の動き) / 三山 (三尊・反転天井)」と覚えます。「川 = 谷の形 / 空 = ギャップ / 兵 = 兵隊 = 連続 / 法 = ルール / 山 = 三尊」のキーワードで連想できます。
Q. 三川と三尊 (ヘッドアンドショルダー) は別物ですか?
A. 三川 (酒田) は「3 つの底のローソク足パターン」、三山 (酒田) は「3 つの山のローソク足パターン」で、後者が西洋でいう「ヘッドアンドショルダー (三尊)」とほぼ同じ概念です。三川 / 三山 はローソク足単位、三尊 は数週間〜数ヶ月のチャートパターンで、時間軸が違います。
Q. 酒田五法は個別株とインデックスのどちらで使うべきですか?
A. 個別株でもインデックスでも使えますが、流動性の高い銘柄 (出来高 100 万株以上) の方が信頼度が高めです。流動性の低い銘柄ではローソク足にノイズが乗りやすく、ダマシ確率が上がります。
Q. 現代のテクニカル分析で酒田五法を使う意義は?
A. 「ローソク足を読む基本」を学ぶ入門教材として優れています。三川 / 三空 のような単純なパターンを認識できるようになると、複雑な MACD / RSI / ボリンジャーバンドの判定も自然に身につきます。「テクニカル分析の歴史と思想」を理解する意味でも価値があります。