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ハワード・マークスのメモを日本語で読む方法|入門3本も紹介

by @kabueng55

ハワード・マークス メモ 日本語 - 公式サイトで読む手順の図解

結論から書きます。ハワード・マークスのメモは、オークツリー公式サイトのメモ一覧から読みたいメモの個別ページを開き、ページ上部の「PDF Translations」でJapaneseを選ぶ——これだけで日本語で読めます。登録不要・無償です。日本語版は全メモではありませんが、2026年7月時点の実査で少なくとも11本を確認しました。この記事では、手順の詳細・最初に読む入門3本・2024年の話題メモの要点・書籍との使い分けを整理します。

手順やること
1公式のメモ一覧ページを開く(登録不要)
2読みたいメモのタイトルをクリックして個別ページへ
3ページ上部の「PDF Translations」欄で Japanese を選ぶ → 日本語PDFが開く

マークスのメモとは何か?

マークスのメモは、オークツリー・キャピタル共同創業者のハワード・マークスが顧客向けに書き続けている市場論考です。本人が2024年のメモの中で「顧客向けメモの執筆に取り組んできた40年の間」と述べているとおり(メモ「リスクの不可欠性」由来)、蓄積は40年に及びます。ウォーレン・バフェットが、マークスのメモが届くと真っ先に開いて読むと評したことでも知られます(『投資で一番大切な20の教え』推薦文由来)。

マークスのメモとは

メモの特徴は、個別銘柄の推奨や相場予想ではなく、「いま市場で何が起きていて、投資家はどう考えるべきか」という思考の枠組みを扱うことです。書籍『投資で一番大切な20の教え』自体が、このメモ群をもとに再構成された1冊でした。つまりメモは、書籍の「原材料」が現在も更新され続けている場所です。

文体にも特徴があります。学術論文ではなく顧客への手紙なので、チェスやスポーツのアナロジー、過去のメモの自己引用、市場の実例を織り交ぜながら、1本10ページ前後で1つの問いを掘り下げる構成です。数式はほぼ登場しません。専門家向けの難解さではなく、「考え抜かれた平易さ」が40年読まれてきた理由だと感じます。

顧客向けと言いつつ、公開は一般に開かれています。閲覧に口座も登録も要りません。新着を追いたい場合だけ、メール配信(Subscribe)に任意で登録する形です。日本の個人投資家にとっては、世界的な運用者の思考過程を原文と公式訳の両方で、費用ゼロで追える希少な情報源ということになります。

日本語版はどのメモにあるか?——実査で確認できた11本

日本語版の有無はメモごとに異なります。一覧ページは英語表記のみで、日本語版があるかどうかは個別ページの「PDF Translations」欄を見て初めて分かります(例: Is It a Bubble? の個別ページでは日本語・韓国語・中国語簡体字・繁体字の4言語が並んでいました)。

日本語で読む手順

2026年7月時点の実査で、日本語訳PDFを確認できたのは次の11本です。

日本語タイトル原題
リスクの不可欠性The Indispensability of Risk
ミスター・マーケットの誤算Mr. Market Miscalculates
バブル・ウォッチングOn Bubble Watch
AIバブルと言えるだろうかIs It a Bubble?
人とは違う道I Beg to Differ
知識という幻想The Illusion of Knowledge
本当に重要なことWhat Really Matters
価値あるものとはSomething of Value
潤沢なマネーEasy Money
バリューの解析The Calculus of Value
徹底的な検証作業A Look Under the Hood

注意点が2つあります。第一に、この一覧は実査時点の確認分で、網羅を保証するものではありません(翻訳は随時追加されます)。第二に、日本語訳は英語版の公開から遅れて出る場合があります。最新メモを新着直後に読みたい場合は英語版が先になります。

日本語PDFは「顧客向けメモ」という体裁の10ページ前後の文書で、翻訳の品質は商業出版レベルに整っています。無断転載禁止の表記があるため、内容を人に共有したいときはPDFのURLを渡すのが正しい作法です。

目当てのメモの日本語版が個別ページから見つからないときの探し方も書いておきます。検索エンジンで**「メモの原題+日本語」または「メモの日本語タイトル+ハワード・マークス」**を検索すると、公式サイト内の日本語PDFが直接ヒットすることがあります(本記事の実査でも、この方法で一覧ページに出ていない日本語版を複数確認できました)。ヒットしたPDFのURLが oaktreecapital.com ドメインであることを確かめてから開いてください。非公式の要約サイトと公式訳では、正確さがまったく違います。

最初に読むべき入門メモ3本

11本のうち、書籍を読んでいない人でも入りやすく、マークスの思考の型が最も出ている3本を選びました。選定は本サイトの整理です(いずれも上の表の日本語版で読めることを確認済み)。

入門メモ3本

①「人とは違う道」(I Beg to Differ)。市場平均を超えるには、多数派と違う見立てを持ち、かつそれが正しくなければならない——マークスの看板概念である二次的思考を、実践の側から論じたメモです。書籍の第1章に相当するテーマの現在版で、二次的思考で保有株を再点検する7つの質問 の理論的な背景としてもそのまま読めます。「人と違う」ことは心地悪く、間違って見える期間に耐える必要がある——この心理的コストへの言及が、概念解説だけでは得られない持ち帰りです。

②「ミスター・マーケットの誤算」(Mr. Market Miscalculates)。グレアムの有名な比喩——躁鬱の相棒が毎日値段を提示してくる——を軸に、市場の気分と価値の乖離を論じたメモです。比喩の原典は 『賢明なる投資家』 で整理したとおりで、1949年の比喩が2020年代の市場にそのまま通用する様子を、グレアムからマークスへの系譜として1本で体感できます。書籍を読んだ人ほど楽しめる1本です。

③「AIバブルと言えるだろうか」(Is It a Bubble?)。実査時点の一覧で直近に並ぶ話題作です。熱狂の渦中で「これはバブルか」を判定する枠組みを扱っており、マークスの振り子・サイクル論が現在の市場にどう適用されるかを見られます。結論の当たり外れではなく、渦中でどう問いを立てるかの実演として、時事性があるうちに読む価値のある1本です。

3本に共通するのは、「答え」ではなく「問いの立て方」が持ち帰りになることです。読み終えて相場観が変わるというより、自分の判断の癖を疑う道具が増える感覚に近いと思います。なお、3本の選定は本サイトの判断であり、公式の推奨リストではありません。バブル・サイクル論を深めたい人は「バブル・ウォッチング」、マクロ予測との距離感を考えたい人は「知識という幻想」と、上の一覧表から関心で差し替えて構いません。

2024年メモ「リスクの不可欠性」で何が言われているか

リスク3部作などで知られるマークスのリスク論のうち、日本語で読める近作が2024年の「リスクの不可欠性」(The Indispensability of Risk)です。この記事のために私自身も日本語版を読み返しましたが、チェスの「犠牲」の話から始まる異色の構成で、要旨は次のとおりです(メモ由来)。

きっかけは、オークツリーのCIOであるブルース・カーシュがマークスに送った、チェスにおける「犠牲」を扱ったThe Wall Street Journalの記事だったと本人が書いています。チェスでは、駒を意図的に捨てる「犠牲」なしに優位を築くことは難しい。そこから投資のアナロジーが立ち上がります——確実な小さな成果で満足するか、目先の利益が保証されない「真の犠牲」を払って大きな成果を狙うか。

2024年メモの要点

未来が不確実である以上、投資家は「リスクを避けてリターンもほぼ諦める」「少しのリスクで少しのリターンを得る」「大きな利益を狙って大きな損失の可能性も受け入れる」のいずれかを選ぶしかない。そして**「リスクをあまりにとらないのもリスクである」**——リスク回避はリターン回避につながり、生活を支えるに足るリターンすら得られなくなりうる、という指摘です。バークシャー・ハサウェイの成功も、少数の抜きん出た勝者と少数の敗者を含む「多くの投資」の結果として説明されます。

ここで注意したいのは、このメモが「だから荒い値動きの銘柄を買え」とは言っていないことです。値動きの荒さ(ボラティリティ)を高リターンの対価と見なす考え方について、筆者が東証の現存3,447銘柄を対象に、2016〜2022年の各年末断面で直近1年の実現ボラティリティを五分位に分けて検証した結果(検証の全文はXで公開)では、本検証の条件では、その後1年をプラスで終えた比率は低ボラ群64.7%に対し高ボラ群44.5%、最大ドローダウン中央値は低ボラ群15.2%に対し高ボラ群41.6%でした(現存銘柄のみのため生存バイアスあり・手数料税未考慮)。闇雲に値動きの荒いものを抱えることは、マークスの言う「不可欠なリスクテイク」の代わりにはならない——メモと検証を並べると、リスクは「量」ではなく「取り方の質」の問題だという輪郭がはっきりします。

リスク=損失の可能性という定義や、リスクが好況時に観測できないという議論は、書籍側の『投資で一番大切な20の教え』の要約で整理しています。メモはこの土台の上に、時々の市場環境を載せて書かれています。

書籍とメモの使い分け

両方に手を出す前提で、役割の違いを整理しておきます。

観点書籍(20の教え)メモ
性格40年分の思考の体系化現在進行形の市場への応答
賞味期限長い(原理が主題)時事性あり(ただし原理は反復される)
分量1冊・約300ページ1本10ページ前後
入手書店・電子書籍公式サイトで無償・登録不要

私は書籍で骨格を掴んでからメモに進んだ順でしたが、実務的にはこの順番が楽です。メモには書籍の概念(二次的思考・振り子・リスクの再定義)が説明なしで登場するため、骨格を先に持っておくと1本10ページがすっと読めます。逆にメモから入って面白さを感じたら、書籍で体系を埋める順番でも成立します。

日本語版がまだ出ていない新作を読みたい場合は、ブラウザの翻訳機能で概要を掴み、公式訳が追加されたら読み直す二段構えが現実的です。メモの英語は修辞より明快さ優先で、投資用語の基礎があれば原文でも読み進めやすい部類に入ります。機械翻訳で意味が取りにくかった箇所だけ原文に当たる、という折衷でも十分機能します。

運用として現実的なのは、新作が出たときだけ読む定点観測です。頻度は年数本なので負担は小さく、「マークスは今の市場をどの温度と見ているか」という定点が手に入ります。読んだメモの要点と、自分の保有株への示唆を1行メモに残しておくと、『20の教え』の教え②(運の影響を認める)で触れた「判断プロセスの記録」の材料としてそのまま機能します。

📝 メモの気づきの記録には: 読んだメモの要点・自分の保有への示唆・そのときの市場の温度感を1行で残す用途には habitre が使えます。次のメモが出たとき、前回の自分の読みと突き合わせられます。

限界と注意

  • 実査は2026年7月時点: 日本語版の本数・掲載場所・ページ構成は、サイト改修や翻訳の追加で今後変わりえます。本記事の手順で見つからない場合は、公式サイトの検索や「メモ名+日本語」での検索を試してください。
  • 日本語版一覧は網羅保証なし: 11本は実査で確認できた分であり、すべての翻訳を尽くしたものではありません。
  • メモの要約は抜粋: 「リスクの不可欠性」の紹介は要点の一部で、原文の議論(チェス・バックギャモン・スポーツのアナロジーなど)は大幅に省いています。原文には無断転載禁止の表記があるため、引用は最小限に留めました。全文は必ず公式PDFで読んでください。
  • ボラティリティ五分位の検証は筆者の自社検証: 現存銘柄のみ・配当分割調整後・手数料税未考慮の条件付き観測です。メモの主張の代弁ではなく、隣に置いた独自データとして読んでください。
  • 投資助言ではない: 本記事は情報源の案内と一般的な投資教育を目的としており、特定銘柄・特定手法の売買を推奨するものではありません。メモ自体も個別の投資判断を提供するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。

まとめ:今日から定点観測を始める

ハワード・マークスのメモを日本語で読む手順は3つだけです。

  1. 公式のメモ一覧を開く(登録不要)。
  2. 読みたいメモの個別ページで「PDF Translations」→ Japanese
  3. 入門は「人とは違う道」から。書籍を読んでいなくても入れます。

最初の一歩は、上の表から気になる日本語タイトルを1本選んで、10ページ読み切ることです。40年分の蓄積が、今日から日本語・無償の定点観測先になります。書籍側の骨格が欲しくなったら、『投資で一番大切な20の教え』の要約が次の1歩です。

書誌情報

  • ハワード・マークス「顧客向けメモ」オークツリー・キャピタル・マネジメント。公式メモ一覧(日本語版は各メモ個別ページの PDF Translations から)
  • 『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』ハワード・マークス著、貫井佳子訳、日本経済新聞出版社、2012年10月刊。書籍ページ(Amazon) — メモ群をもとにした体系版。

// faq

よくある質問

Q. ハワード・マークスのメモは無料で読めますか?

A. 読めます。オークツリー・キャピタルの公式サイトで登録不要・無償で公開されており、日本語訳PDFも同じ条件で読めます。メール配信(Subscribe)は新着通知を受け取りたい人向けの任意登録で、閲覧自体に登録は不要です(2026年7月時点の実査)。

Q. すべてのメモに日本語版がありますか?

A. ありません。日本語訳が用意されるのは一部のメモで、本記事の実査で確認できたのは11本です。翻訳の有無は各メモの個別ページにある「PDF Translations」欄で確認でき、日本語のほか韓国語・中国語(簡体字・繁体字)が並ぶメモもあります。

Q. 日本語版のメモはどこから探せばいいですか?

A. 公式サイトのメモ一覧(Insights → Memos)から読みたいメモの個別ページを開き、ページ上部の「PDF Translations」でJapaneseを選ぶ手順が確実です。一覧ページ自体は英語表記のみなので、日本語版の有無は個別ページに入って確認する形になります。

Q. メモはどのくらいの頻度で公開されますか?

A. 不定期で、近年はおおむね年に数本のペースです。実査時点の一覧では2025年12月、2026年2月、2026年4月と数ヶ月おきに新作が並んでいました。日本語訳は英語版の公開から遅れて追加される場合があります。

Q. 書籍とメモはどちらを先に読むべきですか?

A. 体系立てて学ぶなら書籍『投資で一番大切な20の教え』が先です。メモは時々の市場に対する現在進行形の応答なので、書籍で二次的思考やリスク論の骨格を掴んでから読むと、各メモの位置づけが分かりやすくなります。順番が逆でも読めなくはありません。